« boards of canada/the campfire headphase | トップページ | trip alone to Yemen »

2005年9月 1日 (木)

Andreas K.Engel,Pascal Fries and Wolf Singer:Dynamic Predictions:Oscillations and Synchrony in Top-Down Processing.Nature Neuroscience 2001

Searlの本を読む合間に流し読みした、ニューロンの同期発火説で有名なWolf SingerらのReview。自分はいつも、同時進行で2〜3冊読む癖がある。なんと言うか、その方が連想が広がるから。
Singerら曰く、認知や意識は受動的passiveなものでもなく、むしろ構成的constructiveな過程processだという。さらに、認知は刺激によって一義的に決定されるstimulus drivenものではなく、脳の自発的な運動による予測prediction(内部モデルみたいなもの?)が常に働いており、これによって認知はいわゆるtop-down型の修飾を受けるものであると。その際にはγ帯域同期性収縮波などの時空間的なニューロンの活動パターンが重要であると。SIngerらは必ずしも神経システムにおける階層性hyerarchyを持ち出さなくとも、個々のassemliesの自発的で協調した活動がこのようなプロセスを成立させるとした点はautopoieticで興味深かった。これまでは単なるノイズと捉えられていた一見無秩序な神経の活動も、決して無意味ではないのかもしれない。彼らはEdelmanらと共に自らをDynamicistと呼んでいる。最近、統合失調症の同期障害仮説が注目されているけど、SInger自身が統合失調症に言及した論文はまだ見たことがない。これからいろいろと探して読んでみよう思う。

この論文を読むと、統合失調症の様々な症状を連想してしまう。以前からFrithらが繰り返し言うように幻聴やさせられ体験が一種の内部モデルであるefference copyの障害だという主張がある一方、妄想もこのようなtop-down型の修飾の異常によって生じるのではないかと想像してしまう。精神病理学に翻訳すれば、中井久夫の徴候空間優位説などもこれ以上はないくらいの優れた比喩になるんじゃないかと思う。自然界における「徴候」の読みでは、認知能力のより大きな比重が危険の察知におかれることになるわけだから、統合失調症発症初期における被害妄想の優位もこの辺と関係があるのかもしれない、などと予想される。自分の知識と文章力ではこの辺が限界だ。

今日の音楽:Harold Budd and Brian Eno/The Pearl
ピアノアンビエントの名盤。ちなみにBrian Enoが分裂病治療のための音楽作品を残しているという話をすこぶる社の店長さんから聴いたが、作品名を聞いてなかった。

|

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/132728/5729741

この記事へのトラックバック一覧です: Andreas K.Engel,Pascal Fries and Wolf Singer:Dynamic Predictions:Oscillations and Synchrony in Top-Down Processing.Nature Neuroscience 2001:

» 統合失調症 [知っておきたい病の知識]
統合失調症統合失調症(とうごうしっちょうしょう、Schizophrenia)精神病|精神の失調の一態であり、''Schizophrenia'' に対する言葉として、それまで長く使われてきた「精神分裂病」に替わって日本精神神経学会の定めた呼称である。 しかし、''Schizophrenia'' にしろ...... [続きを読む]

受信: 2005年9月 3日 (土) 08時36分

コメント

医師や看護士は空想出来るけど同じ事患者
すればそれは妄想となるわけで資格と権力が違うだけ位に思ってますけどね

投稿 患者の立場 | 2005年9月 1日 (木) 00時48分

コメントを書く