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2005年9月 8日 (木)

over a night duty

当直明け。

最近読んだ論文。
Leslie Iversen.Cannabis and Brain.Brain(2003),126,1252-1270

Pooneilさんのところで拾った論文。興味本位で手に取ってみる。以下要約。
cannabinoid(THC)が作用するレセプターとしてcannnabinoid receptor(CB1,CB2)があるが、何と脳内にはendogeneousなCB1 ligandがあるらしい。CB1を発現するニューロンの中で重要なものは、海馬、扁桃体、大脳皮質に分布するGABA作動性ニューロンで、endogeneous cannabinoidは主に小脳や海馬において再分極によってもたらされる抑制性あるいは興奮性活動の抑圧に関与しているとのこと。しかし、exogeneous cannabinoidを摂取した場合と違って微量のendogeneous cannabinoidはあっという間に消費されてしまうらしい。なので、量的に桁違いであるcannabinoidの外的な摂取による神経活動への影響はまだまだ明らかにされていない。

ちなみに、cannnabinoidの摂取により軽度認知障害(短期記憶の障害、軽い精神運動興奮、食欲増進、疼痛閾値の上昇)が一時的に起こりうるが、慢性的に摂取した場合でさえ永続的な認知障害が生じるエビデンスは無い。さらに一般的な常習者の使用量における神経毒性もエビデンスは得られていない。また、Panic DisorderやSchizophrenia、Depressionなどの精神障害の併発との因果関係にもエビデンスは得られていない。日常的常習者にみられるという"Amotivation syndrome"と呼ばれるような、前頭葉機能の欠落症状のような病態にもエビデンスは無い。(エビデンスは無いというこの表現に誤解の無きように。RCTなどによる信頼できるエビデンスは無いものの、症例報告レベルのエビデンスはわんさかとある)。
これじゃあ、cannabinoidを賞賛しているようになってしまうので、精神科医としてちゃんと悪いことも書くのが義務であろう。一つ、cannabinoidの使用によりAcute psychosisを生じる人がいる。さらに、cannabinoidの摂取によって既存の精神障害の症状は確実に悪化しうる。また、一般的な認識とは異なり、日常的な使用により耐性や依存を生じうるのは間違いない。

驚いたことに、cannabinoidが一部の神経疾患や腫瘍性疾患に応用され得るかもしれない、あるいは応用が真面目に検討されていた時期があったという。

ちなみに、面白いなと思ったのは一時は真面目にSchizophreniaがendgeneous cnnanbinoid systemの異常によって生じると主張した人(Emrich HM et al.Towards a cannabinoid hypothesis of schizophrenic cognitive impairment dute to dysregulation of endogeneous cannabinoid system.Pharmacol BIochem Behav 1997;56:803-807)がいたということ。ちなみに僕自身は、そんなことはあり得そうにもないと思う。まだ、MDMAによるSchizophrenia likeな病態への影響の方が真実味がある。

今日の音楽:Calm"Light Years(12inch)"
Calmのテーマ曲とも言えるこの曲は、僕の当直中にエンドレスリピートしている。

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