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2005年10月

2005年10月24日 (月)

Diffusion Tensor Imaging(DTI) in Schizophrenia

聴いた話を忘れないためにメモ。
MRIを用いたDiffusion Tensor Imaging(DTI)という方法によって、神経の回路網を非侵襲的に画像化できるという話。Diffusionを開発した人が可能にした技術。実際の画像を見せてもらったが、こんなことができるのかと驚いた。corpus callosumやparietal lobeからspineに延びるcorticospinal fibersだけでなく、cortico-cortico fibersまでも明瞭に画像化されている。
技術の詳細はもう忘れてしまったが、普通のMRI装置(どこにでもある)で撮影したDiffusion画像を特殊なソフトで処理することによって得られるという。神経回路網を画像化するという意味では構造解析だが、回路網の解析自体は間接的に機能的な意味をもつ。しかし、ダイレクトに機能的な評価も可能となりつつあるらしい。画像化の機構上、画像と神経の走行が対応しているという根拠を固める必要があるのだが、今や血管の走行だけでなく神経の走行までも画像化できるなんてMRIって奥が深い。
TargetはやっぱりSchizophreniaか。
ネットで調べたら色々と出て来た。僕は知らなかったのだが、ホットな話題のようだ。

Kubicki M, McCarley R, Westin CF, Park HJ, Maier S, Kikinis R, Jolesz FA, Shenton ME.A review of diffusion tensor imaging studies in schizophrenia.J Psychiatr Res. 2005 Jul 13

Jones DK, Catani M, Pierpaoli C, Reeves SJ, Shergill SS, O'sullivan M, Golesworthy P, McGuire P, Horsfield MA, Simmons A, Williams SC, Howard RJ.Age effects on diffusion tensor magnetic resonance imaging tractography measures of frontal cortex connections in schizophrenia.Hum Brain Mapp. 2005 Aug 4;

Kanaan RA, Kim JS, Kaufmann WE, Pearlson GD, Barker GJ, McGuire PK.Diffusion Tensor Imaging in Schizophrenia. Biol Psychiatry. 2005 Jul 22

Szeszko PR, Ardekani BA, Ashtari M, Kumra S, Robinson DG, Sevy S, Gunduz-Bruce H, Malhotra AK, Kane JM, Bilder RM, Lim KO.White matter abnormalities in first-episode schizophrenia or schizoaffective disorder: a diffusion tensor imaging study.Am J Psychiatry. 2005 Mar;162(3):602-5.

Nestor PG, Kubicki M, Gurrera RJ, Niznikiewicz M, Frumin M, McCarley RW, Shenton ME.Neuropsychological correlates of diffusion tensor imaging in schizophrenia.Neuropsychology. 2004 Oct;18(4):629-37

Taylor WD, Hsu E, Krishnan KR, MacFall JR.Diffusion tensor imaging: background, potential, and utility in psychiatric research.Biol Psychiatry. 2004 Feb 1;55(3):201-7.

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2005年10月23日 (日)

Monaco F, Mula M, Cavanna AE.Consciousness, epilepsy, and emotional qualia.Epilepsy Behav. 2005 Sep;7(2):150-60.

僕は医者なので、意識や神経活動の同期性などと言っても、日常的に病気と関連づけて考えることになる。
このReviewはEpilepsyが意識の研究の上で一つのドアとなるという内容の論文。

日常的な臨床の場面において僕たちが意識という用語を用いる際には、一般に意識レベル、つまりはwakefulnesの深さ(Clasgow Coma Scaleなど)を指すことが多い。ときには近似的にawareness、vigilanceの意として用いることもある。臨床の場面では誰にでも一義的に伝わる用語を用いる必要があり、このようなobjectiveでpracticalな面を強調せざるを得ないのだが、必然的にsubjective、first person perspectiveな面が抜け落ちている。では、患者自身の口から語られる意識や体験の現象学的な側面が診断的価値を有していないのかというと、決してそんなことは無いのである。
Epilepsyは神経の異常な同期性の活動によって引き起こされる病的な意識状態と言える。発作時の異常な意識状態を解析する際には、通常のawarenessとしての意識状態(level of consciousness)と、意識体験の内容(contents of consciousness)の2軸に分けると理解しやすい。つまり、generalized epilepsyのようにlevel of consciousnessとcontentsの異常な変異と言えるものや、limbic status epilepticusのようにcontents of consciousnessが異常となる病態、あるいはfocal seizure with experiential symptomsのようにlevel of consciousnessの程度は様々だが一定のcontents of consciousnessが体験される病態というように理解できる。このreviewでは、levelとcontentsをそれぞれの軸とするdidimentional modelという分かりやすい図が掲載されていて、イメージをつかみやすい。
limbic status epilepticusや重積したabsencesの際に、いわゆる哲学的ゾンビphilosophical zombieのようなautomaticな状態になることや、発作時あるいは発作前のauraに伴って様々なqualiaが体験される(たとえばdeja vuや、要素的な幻覚など)ことも、意識の研究にとってcoreな研究材料である。
現在一般的に用いられるSeizureの国際分類は、上記のような主観的な側面、contents of consciousnessの診断価値は著しく不当に扱われているが、信頼性のある評価手段が無い以上は国際分類のような大枠の分類に組み込むのは難しいのかもしれない。しかし、個々のcaseにおいて患者自身による陳述により得られる情報は大きいと考えられるし、何よりもそのようなcaseを蓄積させることが、臨床のみならず意識の科学的な研究と現象学的な研究の相互抑制のために重要である。

Monaco F, Mula M, Cavanna AE.Consciousness, epilepsy, and emotional qualia.Epilepsy Behav. 2005 Sep;7(2):150-60.

今日の音楽:Sueno Latino:Sueno Latino(Derrick May remix)

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2005年10月21日 (金)

Meditation and Neural Synchironization.

瞑想Meditationと身体(脳)に関する論文をピックアップ。
たまたま目にしたScience and Consciousness誌にてStuart Hameroffが寄稿したReviewを目にしたのがきっかけ。Stuart Hameroffは瞑想体験について、外界の刺激から遊離しその内容が無であるにも関わらず、高度に意識されていることから、瞑想体験はpure qualeと言えるのではないか、と考察する。

このReviewでも言及されているように、僕らはFrancisco Varelaを思い出す。彼は晩年の脳科学と哲学的な探求の中でAutopoiesisという言葉を用いなかった。Embodimentされた心を探求する学としての認知科学、哲学的な言語との架橋を目指すNeurophenomenologyという戦略を掲げて、これから、というときに肝細胞癌でこの世を去った。晩年の、そして意識に関する唯一の著書「身体化された心」を読むと、Varelaがかなり早い時期から現象学を通り超して仏教思想に接近していたことが分かる。実際に彼はフランスのCNRS (National Institute for Scientific Research) at the laboratory of Cognitive Neurosciences and Brain Imaging (LENA)の Director of Researchの座に就く前に、チベットの仏教僧のもとで何ヶ月かを過ごしていたようである。Neurophenomenologyとは神経科学と哲学という二つの異なる言語を用いた学が相互に制限する関係をもつことで心や意識に関する研究を進めることができるというある種の宣言であったが、これは脳科学と哲学、仏教思想という異なる学を矛盾なく探求し続けたVarelaのスタンスそのものであったのだろう。そして、その二つの世界において彼は最後まで異邦人であったように思う。

MedlineでMeditationと入力し検索にかけると、怪しげな論文が沢山釣れるのだけど、中にはちゃんとした論文もある。

Antoine Lutz, Lawrence L. Greischar, Nancy B. Rawlings, Matthieu Ricard, and Richard J. Davidson.Long-term meditators self-induce high-amplitude gamma synchrony during mental practice.Proc Natl Acad Sci U S A. 2004 November 16; 101(46): 16369–16373.
まだ目を通していないけど、チベットの修行僧の瞑想(Mental Practiceとある)中の脳の活動を、EEGを通して解析した研究。Abstractを読む限りでは、瞑想中の修行僧はGamma synchronyのamplitudeが増幅し、baseline amplitudeもcontrolに比較して増大しているという内容。晩年に仏教思想に接近したFrancisco Varelaの意志を継ぐ論文なのかもしれない。

Newberg A, Pourdehnad M, Alavi A, d'Aquili EG.Cerebral blood flow during meditative prayer: preliminary findings and methodological issues.Percept Mot Skills. 2003 Oct;97(2):625-30.

Aftanas LI, Golocheikine SA. Non-linear dynamic complexity of the human EEG during meditation. Neurosci Lett. 2002 Sep 20;330(2):143-6.

Cysarz D, Bussing A.Cardiorespiratory synchronization during Zen meditation.ur J Appl Physiol. 2005 Jun 7

今日の音楽:Boards of Canada"Campfire Headphase"(CD)
毎日聴く。

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2005年10月16日 (日)

Boards of Canada/Campfire Headphase

WARP123
ああ、僕はこういう音楽を聴きたかったんだ。

3年間信じて待ち続けて、「もう駄目かな・・・」というときに、彼らが帰ってきたこの喜び。

Boards of Canadaは、地平性の彼方から暖かくて懐かしい音を、まるでゆらゆらと揺れる糸のように、延々と紡ぎだす。そして僕の耳に届いたかと思うと、また果てしなく拡散していく。ゆらめいて、この音を理解しようにもとりとめがない。でも、この音は僕の身体に確実に痕跡を残してゆく。

うう、脳細胞に遍く染み渡る・・・。

自宅のプラネタリウムをライトオンしてこのアルバムを聴いていると、もはや自分がどこにいるか分からなくなってくる。危ない、危ない。

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2005年10月15日 (土)

Home Star

今日は当直。武田常広著「脳工学」、という本を持ち込む。AIや脳科学の将来に関する記述は甘ったるくて浅薄だけれども、f-MRIとか、MEGとか、PETなどの機能画像検査の原理を学ぶにはとてもいい本だ。

医局に顔を出すとホームスターが届いていた。いわゆる自家用プラネタリウム。CMで唐沢とコーヒーを飲んでいる 大平貴之氏も制作に関わっているらしい。

投影される星の数は1万個。早速当直室で投影してみた。暗順応が進むにつれ、星々が浮かび上がってくる。満天の星空を時々流れ星が飛んでゆく。投影範囲は天井や壁の一面だけだが、視点を固定させておくと段々と立体的に見えてくるので、星の中に入って行けそうな錯覚が生じる。

茫と眺めていると、眠たくなってくる。

3台購入して6畳の部屋に設置すれば、部屋を宇宙空間にすることもできるだろう。

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大森荘蔵「時間と存在」(青土社)

僕は、本書の1、2章をとばして、迷わず3章から読み始めた。ここでは現代科学に対する冒涜とも言えるような、「無脳論」が展開される。

彼は言う。今日、僕たちの意識と行動は全て脳の状態によって決定されるという「脳産教理」を信じて疑わない。「僕たちの意識、記憶、感情、知覚・・・このような心の動きの全ては脳の働きによって生み出される」という信念は脳の時代のセントラルドグマであり、これに異を唱えるものは異端として徹底的に排斥されるのがおちだろう。

大森荘蔵は、脳科学における諸発見を完全否定しようとするのではなく、少なくとも論理的には脳産教理におけるセントラルドグマを否定する可能性が残されているのだと、控えめな口調で語る。彼の論旨は明快だった。要約すると、脳と世界における因果系列の中で、「世界→脳」の因果関係は確かであっても、「脳→世界」の因果関係は障害因果(例えば脳の視覚野が損傷されると、視野に欠損を生じるという因果的事実)しか不十分な根拠しか提示することができず、従って脳産教理は因果系列の必須条件を欠き、その成立を疑わざるを得ないというものだ。世界の体験が必ずしも脳に帰属されないことから、彼は最終的に脳が無くても体験が成立するといいう無脳論の可能性に到達する。ここで彼が挙げる解決策が、おなじみの「重ね描き」である。

正直に言って僕にはピンとこなかった。もっと難解か、あるいは曖昧で神秘性を帯びた論理が展開されるものかと想像していたから、拍子抜けしたからかもしれない。あるいは、僕たちは余りに無反省的に世界を脳に帰属させていたのだろうか?あるいは「野暮なことはするな」という、いかにも彼が呟きそうなぼやきなのだろうか?

一つ疑問が生じる。

因果系列の必須条件とは「因果決定論」(全ての事象は原因をもつ)と「因果律」(同一の原因は同一の結果を伴う)なのだろうけど、このような因果関係は脳産教理だけではなく、量子力学における不確定性という概念によって、既に科学の内側で展開され始めている理論ではないのだろうか?そして、脳科学の中にはそのような流れを取り込もうとしている向きもある。そうなると、彼が科学に対して鳴らした警鐘は、まさしく科学の中で溶けて消えてしまうかもしれない。

でも、どこかにわだかまりが残る。不吉な予感が。


(僕たち精神科医も、Schizophreniaを含むあらゆる精神疾患を因果的に脳に帰属させようとしている。そして未だ完全ではないにせよ、この試みはあるところまでは成功を収めている。かつては治療的ニヒリズムから脳を無視した様々な治療が行われたけれども、そのほとんどはSchizophreniaの患者さんには非力であった。極論すれば、僕たちは患者さんを治せなければ無意味な存在である。その後、再び揺り戻しが働いて、精神医学の再医学化の流れの中でおのずと治療標的が定まっていく。僕たち精神科医が患者さんの中で何が起こっているのか考えようとしたときに、脳を度外視することは不可能であった。)

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2005年10月13日 (木)

"Gamma synchrony" in first-episode schizophrenia: a disorder of temporal connectivity?m J Psychiatry. 2005 Mar;162(3):459-65.

先日Gamma synchronyとSchizophreniaのReviewを紹介した。これは、同じAustraliaのSydney大学のグループによるFirst episode Schizophreniaのみを集めてGamma synchronyの異常を報告した研究。これまで主にchronic Schizophreniaに関する報告が成されてきけど、これではchronicityやmedicationの影響が否定しきれない。従って、そのような影響を最小限化するためにはfirst episode Schizophreniaのみを集めて(本当ならnon-medication and first episode Schizophreniaを集めるのが理想的だが、倫理的に問題がある)、Gamma synchronyを健常者と比較する必要がある。

結果としては、やはりGamma synchoronyの減少を認め、これは特にearly component(-150 to 150 ms poststimulus)に顕著である。また、このような減少はfrontal regionに著しい。chronic stateのSchizophreniaではlater component(200 to 550 ms postsimulus)の減少も出現するため、著者らはealy component Gamma synchronyの障害がよりcoreに近い障害だと主張するが、異なる刺激を用いた場合にlater component Gamma synchronyまでもが減少する可能性は否定しきれない。
 
とりあえず、Gamma synchronyの時間的に異なる各componentどのような認知プロセスを担っているのかしらべる必要がありそうだ。ちなみにP50 suppressionもearly component Gamma synchronyの異常で説明できるらしい。

以下、気になる論文をピックアップ。

Clementz BA, Blumenfeld LD, Cobb S. The gamma band response may account for poor P50 suppression in schizophrenia.euroreport. 1997 Dec 22;8(18):3889-93.

Friston KJ.Schizophrenia and the disconnection hypothesis.Acta Psychiatr Scand Suppl. 1999;395:68-79.

Pierri JN, Chaudry AS, Woo TU, Lewis DA.Alterations in chandelier neuron axon terminals in the prefrontal cortex of schizophrenic subjects.Am J Psychiatry. 1999 Nov;156(11):1709-19.

Costa E, Davis JM, Dong E, Grayson DR, Guidotti A, Tremolizzo L, Veldic M.A GABAergic cortical deficit dominates schizophrenia pathophysiology.rit Rev Neurobiol. 2004;16(1-2):1-23.

Rogawski MA, Loscher W.The neurobiology of antiepileptic drugs for the treatment of nonepileptic conditions.Nat Med. 2004 Jul;10(7):685-92.

Wassef A, Baker J, Kochan LD.GABA and schizophrenia: a review of basic science and clinical studies.J Clin Psychopharmacol. 2003 Dec;23(6):601-40.

Busatto GF, Pilowsky LS, Costa DC, Ell PJ, David AS, Lucey JV, Kerwin RW.Correlation between reduced in vivo benzodiazepine receptor binding and severity of psychotic symptoms in schizophrenia.
Am J Psychiatry. 1997 Jan;154(1):56-63

今日の音楽:V.A/L'été Abstrait(CD)
Raphael Marrineauによって創立されたFrench abstractのレーベル、Cafe Abstractのコンピレーションシリーズ。抑制のきいたアブストラクトトラックがコンパイルされていて、哀愁も漂っていてこの季節にはいいかも。

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2005年10月11日 (火)

Evian Gordon et al.Symptom profile and "gamma" processing in schizophrenia.Cognitive Neuropsychiatry,2001,6(1),7-19

先に挙げた論文と同じgroupによるSchizophreniaのsymptom profileとGamma powerとの関連を報告した論文。

嘘のような分かりやすい結果が出ている。

すなわち、Liddleらの分類にならい、対応するPANSSの得点によりSchizophreniaの症状を3群(Reality distortion,Disorganization,Psychomotor poverty)に分け、auditory Oddball paradigm(target stimuli,nontarget stimuli)によって得られたGamma power(EEGによって測定)をhealthy controlと比較すると、

1.Reality distortionは、target stimuliにおいてincreased Gamma powerと有意に相関(部位としては、frontal、central、parietal sites。当初の予想に反して、tempral sitesにてincreased Gamma powerは認められず)。

2.Psychomotor povertyは、target stimuliにおいてdecreased Gamma powerと有意に相関(temporal sitesを除くmultiple regionにて)。

3.Disorganizationは、nontarget stimuliにおいてdecreased Gamma powerと有意に相関(prefrontalおよびfrontal sitesにて)。

WrightとKydd(1998)らの主張と著者のspeculationによると、Schizophreniaの中核症状はDisorganizationであるとのことで、Reality distortionやPsychomotor povertyはともにDisorganizationを代償するために出てきた症状であるとのこと。すなわち、Reality distortionはGamma powerの増幅によってhypervigilanceを獲得し、Disoganizationを代償する戦略で、 Psychomotor povertyはGamma powerの減少によってinformationのinputをshut outし、Disorganizationを代償する戦略をとっているのだという。

うーむ。どこか恣意的な匂いもするけれども、分かりやすい結果なので、頭の中を整理するのには役立った。

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2005年10月10日 (月)

FISHMANS presents "The Long Season Revue" November 22nd@Shibuya AX

昨日知った。
Fishmansの記憶は加工され、僕の脳に深く刻み込まれ、最後に意識から消え去った後も何年も僕の思考と行動に影響力を行使し続けていたので、もう容易に触れられるものではなくなっていた。
そのニュースは折しもFishmansのCD(男たちの別れ)をかけていた車の中で兄から知らされた。
佐藤伸治はもういないからあのオタケビはもう聴けないんだけど、フィッシュマンズ神経症を患う一患者として、それこそ最後の治療のチャンスだから、参戦しないわけにはいかない。
前日が当直なので、36時間の労働の後に心身のバランスを崩した僕に響くフィッシュマンズは、もしかしたらそこにいないはずの佐藤伸治の姿を僕の脳に刻印するかもしれない。

FISHMANS presents ''THE LONG SEASON REVUE''
★11/22(火) 東京/SHIBUYA-AX
open18:00/start19:00 前売¥4,500 (tax in)
★Vocalists
山崎まさよし, UA, ハナレグミ (永積タカシ), 原田郁子 (クラムボン),
蔡忠浩 (bonobos), pocopen (さかな), Pod (modern dog)
★Special Guest : ASA-CHANG

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K-H Lee, et al.Synchronous Gamma activity:a review and contribution to an integrative neuroscience model of schizophrenia(2)

一昨日の続き。

では、Schizophreniaにおいてsynchronous gamma activityがどのように障害されているのだろうか?

Schizophrenic patientsにおけるgamma synchronous activityに関する報告は、Gamma synchronyではなく、主にGamma powerを測定したものが多い。近年Schizophreniaの症候は3つの群、つまりReality distortion、Psychomotor poverty、Disorganizationから成るという認識が一般的である。おおよその結果は、Schizophreniaのheterogenousな症候に対応して、様々なパターンのGamma powerの異常な増減が報告されている。すなわち、Psychomotor povertyとnegative symptoms of disorganizationが前景に立つものではGamma powerの減少が目立ち、Reality distortionとpositive symptoms of disorganizationが前景に立つものではGamma powerの増加を認める。

では、このようなGamma synchronous activityの異常がSchzophreniaのDopamine仮説や、GABA system、NMDA receptorの異常とどのように関連するのだろうか?

まず、先に述べたようにGABA-ergic interneuronはsynchronous gamma activityの生成に重要な役割を担っている。Schizophrenic patientsでは、薬物による影響では説明できないGABA-ergic interneuronの機能的、構造的異常が報告されており、特に前頭葉に関連した報告が多い。GABA receptorのbinding abilityの機能的な減少は、Gamma synchronous activityの減少によってPsychomotor povertyなどの症状に関連している可能性がある。また、NMDA receptorはnon NMDA receptorを介してGamma synchronous activityに間接的な影響を及ぼすと考えられている。KetamineなどのNMDA receptor antagonistsによってGlutamateの過剰放出が起こり、これにより Gamma activityの増大が引き起こされると考えられている。このようなGlutamate modelでは、Schizophrenic patientsではNMDA-receptorのhypofunctionによってglutamate overactivityが生じ、その結果Gamma activityの増大によってReality distortionなどのいわゆる陽性症状が引き起こされると考えられている。一方でHaloperidolなどのDopamine D2 antagonistはGamma activityを抑制することが確認されており、抗精神病薬による陽性症状の改善作用はこのようなGamma activityの調節によってもたらされるという可能性がある。

近年Schizophreniaの"functional dysconnection model"が提唱されているが、このdysconnectivityには2つの様式が考えられる。すなわち、GABA systemの異常やcholinergic ARAS modulationの機能低下によるconnectivityの異常な減少がGamma activityの低下を引き起こし、結果として様々な認知機能の障害やpsychomotor speedのslowingが引き起こされる。また、NMDA hypofunctionによるconnectivityの以上な亢進は、Gamma synchronous activityの増大を引き起こし、結果としてsignal/noise ratioの低下による過剰な情報処理をもたらす。過剰な情報処理はDisorganizationやReality distortionなどの症状を引き起こすものと考えられる。f-MRIやMEGなどの機能画像による検証結果から、Reality distortionは海馬などのlocalなhyperconnectivityによって引き起こされ、Disorganizationはdiffuse brain regionのhyperconnectivityによって引き起こされる可能性がある。


とりあえずの要約でかなりの専門用語を訳さずに書いたので(というか、あえて訳していないものも多い)、何だか訳の分からない文章になってしまった。ただし、僕が抱いていた「Schizophreniaはニューロンの活動の時空間的spatio-temoralなパターンの異常によって引き起こされ、特に同期性(減弱と亢進)が重要である」という予想がかなり具体的な形で裏付けられていることを知って、僕の確信は一層深まり、もっと勉強しようと思った。同期性についてより詳細を知ろうとすれば、数学や情報科学の知識が必要になるし、機能画像や分子生物学などの様々な方向から進められている研究の成果についても知る必要があるだろう。

同時に、僕はSchizophreniaの症状が生物学的言語でかなりの詳細さと精密さをもって語られていることに驚かざるを得ない。そして、そこに病理学的言語と生物学的言語の交わりの萌芽を認めるのだ。記述のレベルlevel of discriptionは、探求の極限で溶け去るものなのかもしれない。

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2005年10月 7日 (金)

K-H Lee, et al.Synchronous Gamma activity:a review and contribution to an integrative neuroscience model of schizophrenia.2003

ガンマ帯域同期性発振現象あるいは同期性ガンマ帯域活動Synchronous Gamma-band activityについて包括的にreviewし、Schizophreniaのdisconnection modelとの関連について考察した論文。現在手に入り得るreviewの中では最も内容の濃いものだろう。

synchronous gamma acitivityは多数の神経細胞が時間的に同期して群発発火と休止を30Hz以上の周期(gamma-band)繰り返すもので、用語上Gamma oscillationはGamma activityの強度を指し、Gamma synchronyは各ニューロンの活動の同期の度合いを指す。
Wolf Singerらは、ネコなどの哺乳動物において同一物体とみなせる視覚刺激を受容する複数の大脳皮質領野間ではニューロンが同期して活動しsynchronous gamma acitivityが発生すると報告した。Singerらの最初の報告以来、synchronous gamma activityが脳内の分散distirbutedされた活動を結合Bindingしているのだという結果が数多く報告されており、いわゆる脳のBinding problemを解く上での一つの鍵だと言われている。脳の情報処理過程に関するBinding Problemに対する一般的な解としてはdistributed coding(von der Malsburg)とgrandmother cell theoryが挙げられる。distributed coding説では同一の対象に関連した処理を担うニューロン群は時間的に同期して活動するとしており、同一のニューロンが異なる情報処理に関与することもあり得る。つまり特定のニューロン群の組み合わせcombinationが対象の表象に対応すると考えている。grand mother cell説では、単一神経細胞のそれぞれが、異なる要素的認識を表象するとし("おばあさん細胞"がおばあさんを表象する)、脳はおばあさん細胞のような単一神経細胞の膨大なレパートリーを有していると考える。distributed coding説では脳は限られた容量の中でも柔軟性を有することになるが、grand mother cell説においては脳はrigidでhard wiredなネットワークから成るものであり、そのようなネットワークでは情報の流れと容量が一義的に決定されている。もちろんsynchronous gamma activityが支持するのは前者であり、可塑的でしかも容量の限られた脳の性質を考えれば、distributed codingの方が現実的な解決策となる。そこでsynchronous gamma activityなどの神経の時間的な発火パターンこそが、空間的に分散された ニューロンの活動を統合integrateする役割を果たし、一つの心的シーンを構成していると考えられている。
実際にSingerらの報告以来数多くの報告が成され、synchronous gamma acitivityなどの同期した活動が視覚のみならず聴覚、体性感覚、記憶、学習、言語などの認知機能において並列する脳の活動をintegrateする働きをもつことが確認されている。さらに機能的に関連したニューロン群が同期して活動することによって、Hebbの法則に基づいてニューロンのselectionとformationに貢献することで神経回路を構成し、学習と記憶において重要な役割を果たすLTP(long term potentiation)とLTD(long term depression)に決定的な役割を果たすと考えられている。
synchronous gamma acitivityは時間的に2つのcomponent、つまり"Evoked" early Gamma activityと"induced" later Gamma acitivityから成る。前者は刺激にtime-lockedされており、attentionによってmodulateされつつ知覚に対するintegrationのindexに貢献する。後者は刺激に対してゆるくtime-lockedされ、知覚のintegrationとcontextの保持に貢献する。Singerらは前者はReceptor field(RF)における局所的な感覚情報のinput相を反映し、後者はlong range pyramidal cellから成るContextual field(CF)の活動相を反映すると考え、脳内の異なるRFにおける局所的な同期活動がさらにCFにおいて同期、統合されるとしている。Tallon-Badryらは、曖昧なGestalt図形(最初は何が書かれているか分からないが、じっと目を凝らすと突然絵の内容が分かる曖昧図形。一度分かると、二度と曖昧で無くなってしまう。ダルメシアンの絵が有名。)を用いた実験で、early phaseは刺激の種類によらず一定だが、Gestalt図形の把握後はlate phaseのみが大きくなることを報告し、上記のSingerらの考えを裏付けている。

このようなsynchronous gamma acitivityの発生機構としては、以下の2つの仮説が代表的である。
GABA-ergic interneuron network modelでは、抑制性のGABA-ergic interneuronがfeedback loopの中で反復して周期的に発振することによって、synchronous mutual inhibitionが生じ、synchronous gamma acitivityが発生するとする。これは数学的には神経の引き込み現象によって説明される。Thalamo-cortical arousal modelではThalamusとCortexにおける反響resonanceがGamma synchronyに貢献するとして、ThalamusとCortexの特定の細胞がintrinsic generator of oscillationsとして機能することが報告されている(Chattering cellsと呼ばれる)。これら2つの機構は矛盾するものではなく、むしろ現実的にはこの2つの機構が相補的に機能していると考える向きもある。

このような神経活動のbinding、認知機能のintegrationが障害される病としてSchizophrenia が真っ先に思い浮かぶ。Schizophreniaは病理学的に"loss of the inner unity"(Kraepellin)と表現されるなど、早期から情報処理のintegrationが障害されているという認識があった。近年はsensory inputとstored informationの異常なintegrationによって各症状が発現するという認知モデルが提示されており、neural synchronyなどの具体的なintegrationの方策が明らかになるにつれ、このような"binding error"としてのSchizophreniaモデルが真剣に検討されるようになっている。例えば神経心理学的な局在研究で有名だったAndreasenも現在"Cognitive dysmetria"という基本障害を仮定し、特にニューロンの活動の時間的パターンの異常によって各認知機能のスムースな協調性が失われるという考えを示している。

今日はここまで。続く

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2005年10月 4日 (火)

John R. Searle"Mind-a brief introduction"(Oxford Unv.Press 2004)

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Jhon R.Searle(California大学Barkeley校哲学科教授,1932〜)による心の哲学(Philosphy of Mind)の概論。著者は語用論(Pragmatics)や志向性(Intentionality)における議論で有名で、近年はAI批判を通して「中国人の部屋Chinese Room」という思考実験を考えだしたように、心の哲学や意識に関する著作を発表し続けている。この著書はタイトルから分かるように脳科学、認知科学、心理学、量子力学、言語学、社会学などのおよそ考えつくあらゆる学問領域を巻き込んで現在も進行している心の哲学における複雑な議論のまさに入り口となる内容である。

この本は専門知識の無い一般読者に対する啓蒙を目的としていることもあり、およそ大胆な仮説や結論と呼べるものは記されていない。Serleの著作を読んだことの無い僕はこの点に少しがっかりしたが、むしろ専門用語を用いずに日常言語に近い表現によって心の哲学における諸議論のポイントを効率良くおさえることができる点で彼の目的は達せられていると言える。

この本の主題はDescartesに始まるMind-Body Promlemであり、彼はその後に続くDualismもMaterialismもFunctionalismもEpiphenomenalismもSkepticismも拒絶する。彼の議論は明快で、こころの哲学における誤謬の多くは誤った語の使用にその発端を有するとして、Qualiaなどの誤解の多い用語の使用は避けている。そして記述のレベルとして量子論Quantum theoryでも心理学Psychologyや社会学Sociologyでもなく、神経生物学Neurobiologyに設定する。その道のりは哲学的議論の中で僕たちの生きる世界から遊離していった僕たちの心と意識を取り戻す試みのようでもある。次々と問いを立ててはそれに答え、僕らは最後に一つの見解に辿り着く。僕たちの心もこの自然的世界の一つの構成要素で、生物学的進化によって獲得した能力であり、従って物質世界に属するものなのだ。最後に彼はこの極めて常識的な見解について述べ、新たな問いによって締めくくる。

We do not live in several different, or even two different worlds, a mental world and a physical world of common sense. Rather, there is just one world; it is the world we all live in, and we need to account for how we exist as a part of it.

僕は、どこかの哲学者が「議論の善し悪しは最初に立てられた問いによって既に決まっている」と書いていたのを思い出した。この本を読了した今、決して僕たちの疑問が解けた訳ではないのだけれども、少なくとも問うべき問いは得られたのかもしれない。

欲を言えば、創発Emergenceや自己組織化Self-Organizationなどが心の哲学と科学の両分野でどのように位置づけられるのか知りたかったけれども、これは彼が問うべき問いではないのかもしれない。

平易な英語で書かれていたため読みやすかったけれども、IntentionalityやFree Willの下りにおける僕の理解は不十分かもしれない。現在邦訳の準備が勧められているというから、出版されたら読んでみたい。

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2005年10月 1日 (土)

10月

最近勉強不足でネタ不足。Yemen旅行の疲れからだろうか。毎年秋になると活字の吸収量が数倍に増えるんだけど、今年は駄目みたい。何とかSearleだけは地道に読み進めていた。

外来の空き時間に患者さん用の書棚を眺めていて、たまたま手に取ったある雑誌に心脳問題のブックレビューが掲載されていた。茂木健一郎によるH.BarlowやR.PenroseへのInterviewも掲載されていたので、こっそりもち帰る。BarlowがDarwinの子孫だなんて驚いた。家でパラパラとめくっていると未読書を何冊か見つけたので暇つぶし用に一気に注文する。

Joseph LeDoux「シナプスが人格を作る」(2004、みすず書房)
Joseph LeDoux 「エモーショナルブレイン」
分離脳研究時代からの有名な情動の脳科学における権威による最新著書。

下篠 信輔「意識とは何だろうかー脳の来歴、知覚の錯誤」(1999、講談社新書)

大森 荘蔵「時間と存在」(1994、青土社)
この本に収録されている、一元論でも二元論でもない「無脳論」という過激な議論を読みたくて購入。大森荘蔵や信原幸宏は引用や援用を用いずに自らの言葉で議論を紡ぎだすことのできる日本では希有な哲学者。

Nicolas Hunphrey「喪失と獲得ー進化心理学から見た心と体」(2004、紀伊国屋書店)
進化心理学の大御所による最新著書。進化心理学という学はあっても、進化精神医学という学は聞いたことが無い。進化論って変わり者による実証不可能な仮説が暴走するという印象がありがちだけど、だからこそ読み物としては面白いものが多い。そのような意味では意識の科学も進化論と親和性があるのかもしれない。進化論も意識や自我と同じように一人称的な説明と三人称的な説明ではそもそも語るべき言語が異なり、そこにExplanetory Gapが生じてしまう。オートポイエーシスなどの進化論への援用が試みられている背景には、このような問題意識があるからなのだろう。などとタイトルから想像する。そういえば、カウフマンの「自己組織化と進化の理論」も途中で投げ出したままだ。

Jhon Sterling「大脳皮質と心ー認知神経心理学入門」
認知神経心理学の入門版。こういう入門版は買ってみても全く読まないことも多い。

今日の音楽:Mystic Diversion/Love Dance
IbizaのSunsetでかかりそうなorganicなChill Out。こういうのは良い。

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