Dehaene S, Sergent C, Changeux JP.A neuronal network model linking subjective reports and objective physiological data during conscious perception.
いつの間にか、精神科医4年目に突入。
ぽちぽちと読んだ論文をメモ。
知覚刺激によって引き起こされる神経活動に対する意識的なアクセスは、localかつbottom up processing levelの神経活動が、long-distance connectionによってhigher cortical levelでglobal brain stateに至ることによって可能となるというglobal workspace theoryの検証。その際に、皮質コラムモデルのシュミレーションと神経生理学(objective)と、被験者による報告(subjective)を相互に比較することによって、視覚刺激によって生じた神経活動のパタンと視覚体験のreportableな主観的側面との相関が得られたという報告。
細かいことは省略するが、ここでは、古典的なパラダイムであるattentional blink(二つ以上の知覚刺激が一定以下の短い時間感覚で呈示されると、最初の知覚処理によって後に続く知覚処理が妨害され、意識に上らなくなるという現象)とその変法を用いている。シュミレーションによって得られたobjectiveなデータは神経整理学的なデータ(gamma-band oscillations、P300 waveformなど)と一致し、さらに被験者によるsubjectiveな報告とよく相関していることが示されている。また、シュミレーションにより、刺激に対する意識的な認知とそれに相関する神経活動がstochasticかつall-or-nothingなパタンで生じること、その非線形的なダイナミクスはニューロンの自発的活動とbottom-upおよびtop-downのreverberation(反響)が不可欠であることなどが述べられている。
タイトルのように、subjectiveな報告と神経生理学によって得られたデータの相関を探るという意味では、VarelaのNeurophenomenologyに近く、具体性では一歩先んじているとも考えられる。現在のimagingの技術では、粗大な神経活動のパタンを測定することはできても、個々のニューロン群の活動パタンをmsのオーダーで測定することは難しい。確かに、このようなシュミレーションモデルを間に挟むことによってのみ、複雑な神経活動のダイナミクスをsubjectiveな報告とlinkさせることができるかもしれない。ただ、このような「相関」が一体何を意味しているのかを考えると、そんなに楽観的ではいられないような気もする。
Dehaene S, Sergent C, Changeux JP.A neuronal network model linking subjective reports and objective physiological data during conscious perception.Proc Natl Acad Sci U S A. 2003 Jul 8;100(14):8520-5. Epub 2003 Jun 26.
今日の音楽:Erast"Cyber Punk"(CD)
ギリシャ(グルジアだったか)出身の電子音楽家Nikakoi(ニカコイ)こと Nika Machaidzeによる、Erast名義での作品。絶対に狂わないプログラムされた電子音なのに、どこかずれていて、それが牧歌的で、叙情的であったりする。映画を作ったり、芸術家集団を作ったり、何でもできてしまう人。
| 固定リンク
トラックバック
この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/132728/9436031
この記事へのトラックバック一覧です: Dehaene S, Sergent C, Changeux JP.A neuronal network model linking subjective reports and objective physiological data during conscious perception.:
コメント