Goldberg JA, Rokni U, Sompolinsky H.Patterns of ongoing activity and the functional architecture of the primary visual cortex.Neuron. 2004
ドリアンが熟して、パカッと割れた。僕は、ドリアンを初めて食べるまでその悪臭に耐え難さを感じていたのに、一度口にしてからはまるで芳香のように感じられるから、不思議だ。こうなると、後戻りできない。
最近目を通した論文。
Goldberg JA, Rokni U, Sompolinsky H.Patterns of ongoing activity and the functional architecture of the primary visual cortex.Neuron. 2004 May 13;42(3):489-500.
刺激を与えた際に誘発されるevoked activity(刺激誘発活動)ではなく、ongoingなspontaneous activity(自発活動)のspatio-temporalな構造の解析に関する論文。Israelのヘブライ大学の研究者。
Synfire chainのAblesもそうだけど、Israelはこのような神経活動の数学的なモデル化に強いという印象を受ける。
evoked activityは刺激誘発時の神経活動の計測を何度も反復し、これを平均化することによって、reproducibleなパタンを得ることができる。一方、spontaneous activityは、in-vivoでの解析は困難であり、現在はin-vitroでvoltage-sensitive dyeを用いて、一回の計測(single image)から得られたデータを解析する。しかし、これらevoked activityとspontaneous activityのダイナミクスには一定の相関が確認されている。
それでは、spontaneous activityはどのようなspatio-temporal patternであるのか?
ここでは、spontaneous activityのnetwork modelとして、以下の二つを提唱。
Single state hypothesis: spontaneous activityは単一のbackground stateを中心として、Gaussian distribution(ガウス分布)をとりながら、ミリセカンドのオーダーで揺らいでいる(fluctuate)。
Multiple state hypothesis: spontaneous activityは、non-Gaussian distributionをとり、ミリセカンドよりも緩やかなオーダーで複数のintrinsic state(attactor state)を遷移(switch)する。さらに、それぞれのattractor stateは、evoked activityと類似しており、spontaneous activity自体はnoiseではなく、何らかの情報処理に関与している可能性が示唆される。
どちらのモデルが実際のspontaneous activityに近いのかという問いに対して、この論文では結論は出ていないのだけれども、spontaneous activityが多数のintrinsic state(内部状態)を次々と遷移しているのではないかという見解があるらしい(Ringach 2003 未読)。
こういう論文を感覚的に読むことは意味の無い行為なんだろうけど、悲しいかな、今の僕には数学的な部分はほとんど理解できず。
それでも、こういった論文を読むと、脳の神経活動にはnoiseなど存在しないという直感は現実味を帯びてくる。
ちなみに、SchizophreniaではP50などの事象関連電位は無数に報告されているが、このようなspontaneous activityを解析した研究は、ほとんど報告されていない。上記の実験方法の問題(invasive、in-vivoな実験が主なものとなるため)もあるからだろう。でも、evoked activityだけでは、Schizophreniaの氷山の一角しか見ていないような気がする。何かうまい方法は無いだろうか?
今日の音楽:Astor Piazzolla"box set CD"(10CDs)
いくつかの偶然が重なり、Piazzollaを思い出した。次にBorgesを思い出した。PiazzollaとBorgesのいたBuenos Airesには、僕もいつか行ってみたいのだけど、当分先のこととなるだろう。国立図書館の館長も務め、後に盲目となったBorgesは、まさしく"bibliophilia"であった。
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