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2006年6月 7日 (水)

Resting neural activity distinguishes subgroups of schizophrenia patients

僕は大学の神経心理の研究会にときどき参加させてもらっている。神経心理の人たちは機能局在の同定を最も重視しているものの、色んなimaging手段を駆使して、過去のlesion studyからactivation studyにシフトしていると言ってよいだろう。あるタスクを課したときにみられる脳の活動をf-MRIやPET,MEGなどの機能画像で調べるactivation studyによって、これまでにSchizophreniaのhypofrontalityとか、陽性症状とhyper para-hippocampal activityとの相関などが指摘されてきた。しかし、Schizophreniaの症候はgoal-orientedなタスクを課したときにだけ出現するものではなくて、脳のデフォルト状態、つまりresting stateにおいてもみられるはずである。この意味では、僕はSchizophreniaのfundamental deficitをactivation studyで調べるのは限界があるのではないかと考えている。よく言われるSchizophreniaの"funcitonal disconnectivity"とか"abnormal neural integration"という捉え方や、最近取り上げたDehaeneやTsodyksのペーパーで脳の自発活動について色々と調べているうちにこういう確信は深まったのだけれども、むしろ当然と言えば当然のことか。再現性の問題とか、実験デザインや技術的な問題があるから、現在はactivation studyというアプローチを取らざるを得ないのだろう。

こういう観点から、ぽちぽちと色々調べていると、同じようなことを考えている人は結構沢山いるらしいが、なかなかうまい方法がないみたいだ。

これは、最近読んだ論文。

Malaspina D, Harkavy-Friedman J, Corcoran C, Mujica-Parodi L, Printz D, Gorman JM, Van Heertum R.Resting neural activity distinguishes subgroups of schizophrenia patients. Biol Psychiatry. 2004 Dec 15;56(12):931-7.

SchizophreniaのPET study。Schizophrenic patientのresting stateにおけるrCBFのパタンがsporadic郡とfamilial郡でheterogenousであることが示されている。至ってシンプルな実験だが、これは意外に重要なこと。上記のactivation studyでは局所のactivationを評価するベースラインとして、たいがいpassive fixation visual stimuli(resting stateに対応)などが採用されているが、この実験はそのようなresting stateをベースラインとして用いることに疑問を投げかける内容。
同じような内容で、f-MRIやMEGを用いた実験も散見される。

今日の音楽:V.A"an evening with Ryukyu Underground"(CD)
Ryukyu Undergroundによるcompilation。Alpha-Xとか、Bob Holroydとか、Dum Dum Projectとか、アジア〜インド、中近東よりのChill Out mix。海辺でお香などを炊きながら聴けば、さぞかし心地よいことだろう。

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コメント

いつも興味深く読んでいます。
統合失調症でのresting stateでの異常はその通りだと思います。ただ、全くの安静時で機能画像を計測するのは、特に気分障害の安静時機能画像知見は報告間で矛盾するものがあるなど、ばらつきがあり、妥当性が高くないなと思っています。そもそも安静時に、心理的に安静にしていることを確認することは行動的に出来ませんよね。こうした安静時機能画像研究は、対象患者の臨床像や薬剤をかなり統制して行わないと妥当性が低い知見しか得られないなと思っています。

activation stadyは主流としては、認知神経科学(現代的な神経神経心理学といってもよいでしょ)では、確かに特定の認知機能とそれに寄与する神経活動の局在を検討するというものですが、それとは別に、何らかの刺激呈示によるtransientな賦活が、先生が言われるfundamental deficitを予測できるような研究もあるのではないかと思います。
僕は統合失調症の神経生理学的研究としてP50成分という近年では統合失調症の有力な中間表現型とされる指標を計測していますが、これは聴覚刺激を2回連続で呈示したときに、2つ目の刺激に対して出現する誘発電位のうち、P50成分(ヘッシェル回起源)が健常者では減衰するのが、統合失調症では大多数で減衰しないというものです(プレパルスインヒビションと同じ現象であると考えられています)。これは状態に依存しない、抗精神病薬の影響を受けない、ハイリスク患者でも減衰が見られない、ということで、素因的・脆弱性指標であると考えられています。おそらく、統合失調症ではfirst episodeのときにヘッシェル回の灰白質の体積が減衰しているという知見がありますが、おそらく神経発達障害仮説に関連して、発症前においてNMADA受容体のdysfuctionが2次的に神経細胞の病的萎縮(樹状突起の減少)か、アポトーシスをもたらして灰白質体積が減少させるでしょう。それによって、主に聴覚過敏やプレパルスインヒビションの障害、ヘッシェル回の近傍の上側頭回・溝との機能的なdysfunctionとして幻聴が生起するのでしょう。そういった意味で側頭葉のこうした部位は統合失調症のfunamental defictを表現している有力な部位だと思っています。それを聴覚刺激を呈示した時のEEG(誘発電位)という、パラダイム自体はsctivetion stduyで用いられる手法ですが、しかしfundamental deficitを評価できるだろうと思っています。

投稿 あすぺるがー | 2006年6月 7日 (水) 18時16分

コメントありがとうございます。
僕はまだ自分で実験をする環境にないので、えてしてspeculationに走りがちなのですが、こういうコメントは非常に勉強になります。
アスペルガーさんのご指摘の通り、自発活動とかresting stateに関する報告は非常にばらつきが多いようで、妥当性という点ではactivation studyとはとても比較できそうにありません。ただ、最近読んだDehaeneとかTsodyksのペーパーは自発活動だけでなく、視覚刺激やattentional blinkなどのパラダイムを加えることによって、実験の妥当性を補強するという内容でした。いずれも健常者に関する報告ですが、この辺にヒントがあるのかなと考えています。
impaired P50 supressionというのは、Schizophreniaでは、paird-click paradigmで2番目の刺激によって誘発されるP50成分の減衰がみられない、というものでしたね(これじゃ繰り返しですね)。
僕はgamma bandとか、神経活動の同期性に興味があるのですが、アスペルガーさんのコメントを読んだ後、gamma -band oscillationとimpaired P50 supressionとの相関を報告していたペーパー(Hong,2004,Neuro Report)を思い出しました。
もうちょっと勉強してみますね。

投稿 わるねこ | 2006年6月 8日 (木) 00時37分

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