Tight correlation between hemodynamic responses and gamma-band oscillations
僕の勤めている精神科で、精神科における身体合併症マニュアルを作成している。
今までに無いマニュアルなので、面白い企画だと思う。
何人かでぼちぼちと書き始めており、出来上がったら出版される予定。
先日は神経心理の研究会に久しぶりに出席したついでに、図書館で論文を釣ってきた。
neural synchronyと、Schizophreniaに関する論文が意外に沢山みつかる。
このところ忙しくて論文を読む時間が余り無かったのだが、一段落ついたので、また色々と調べてみよう。
研究会では年明けに発表の順番が回ってくるらしいので、近々まとめてみたい。
以下、独り言メモ。いくつかの論文をパラパラと手にとって読んでみると、neural synchronyとSchizophreniaとの関連については、やはりAustrariaのEvian Gordonのグループの報告が最も多い。次いでHarvardのKevin M Spencerのグループ。あとは、Singerらのグループも散見される。neural synchronyにはevoked(tightly locked to stimulus)とinduced(loosely locked to stimulus)とがあり、それぞれ異なるプロセスを反映していると考えられる。やや乱暴に言えば、short-range synchronyは主にfeature bindingなどに、long-range synchronyは主にintegration of several segregated brain areasに異なる周波数帯域で関与しているのではないかと思われる。また注意、特に焦点注意(attentional blinkを使った報告が多い)との関連についても考えなければいけないようだ。Tallon-Baudryらは、注意によるneural synchronyのtop-down modulationを報告している。神経心理学的には前頭葉、頭頂葉内側などが注意に関わっていることはおそらく間違いないのだが、このような脳のmodularityとネットワークのダイナミクスとしてのneural synchronyをどうつなげていくか。
最近読んだ論文をメモ
Niessing J, Ebisch B, Schmidt KE, Niessing M, Singer W, Galuske RA.
Hemodynamic signals correlate tightly with synchronized gamma oscillations.
Science. 2005 Aug 5;309(5736):948-51.
SingerのグループによるScience論文。
f-MRIで用いられているBOLD imagingは脳機能評価の強力なメソッドだけど、ここで評価された脳血流の変化(hemodynamic response)がいかなる神経活動のダイナミクスを反映しているかについてはっきりとした結論は出ていない。
この論文は、一次視覚野に微小電極を埋め込まれた猫に対して2段階の強度の視覚刺激を与え、さらにoptical imgingで同時に撮影し、(1)spike rate、(2)刺激強度、(3)LFP oscillationとの相関関係を調べたという実験を報告している。
結果としては、まず従来通り脳血流の変化が刺激強度およびspike rateと相関することが再確認されている。しかし、さらに強い相関がγ-bandのLFP oscillationのpowerとの間で確認された。このLFP oscillationのpowerと脳血流変化との相関は、δ→θ→α→β→γと周波数帯域が上がるにつれて強くなった。また、刺激強度を固定すると、脳血流変化にはtrial by trialのfluctuationがみられるが、このfluctuationとspike rateは相関せず、LFP oscillationにのみ相関していることも確認された。
ちなみに、皮質の抑制性インターニューロンは高度に同期した発火パタンを示し、これによってpyramidal cellがperiodicに抑制され、γ-band synchronized oscillationが生じると考えられている。これは、抑制性インターニューロンが局所のenergy consumptionを決定する主要な因子であることを意味する。したがって本論文の考察では、γ-band synchronized oscillationに関連した脳血流変化の主要な因子は、皮質の抑制性インターニューロンであるされている。また、抑制性介在ニューロン自体は皮質のニューロンの20%程度を占めるに過ぎないという事実は、BOLD signalとunit recordingの解離をある程度まで説明するとされている。
脳機能の評価方法は様々で時間的、空間的解像度に一長一短がある。その中で、このような様々な脳機能評価方法の"cross modal"な関係を調べた実験はかなり重要だと思う。
今日の音楽:Elliot Smith"XO"
Edith Frostに並んで、depressionの音楽の個人的な最高峰。このあたりは大学時代によく聴いていた。
今は無き渋谷のZESTでは、缶ジュース以下の値段で売られていたが、だからこそあの店は潰れたのだろう。
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» ヴァレラ『身体化された心』の感想 [脳と心と痴呆の臨床と。(旧「複雑系」徒然blog)]
わるねこさんからの紹介でヴァレラの『身体化された心』を読んだ。
まず、この本を読み終わって感じた事と言えば、一体自分は何の本を読んでいたのだろう、という不思議な感覚であった。認知科学の方法論上の問題点の指摘から始まり、最終的には自然科学と仏教が手を取り合って新しい文化を建設していく話になる!しかしよく考えてみれば元々認知(神経)科学は自然科学と人文学の中間領域にあって双方に影響を与え、社会に対するインパクトも強い分野ではあるのだから、当然のことなのかもしれない。自然科学者が自らの研究の社会的な... [続きを読む]
受信: 2006年11月 3日 (金) 09時35分
コメント
oscillationの問題も徐々にいろいろな角度から研究されつつありますね。茂木さんがよく意識の問題はneuron同士のnon-local interactionが関与していると言うような話を書いていますが、synchronized oscillationとかcoherent activityとかよりholistic(と言っていいかどうか)な方向性の研究の展開が楽しみです。
投稿 ykenko1 | 2006年10月27日 (金) 12時38分
確かに、茂木さんの言う、「認識におけるマッハの原理」というものも、neural synchronyやoscillationの文脈で考えられると思います。neural synchronyが、神経の発火イベントにおけるcoincidence detectorであるならば、それこそ茂木さんの言う、「相互作用同時性」ということなのでしょう。
僕は神経心理の教室に属しているのですが、holisticな方向性も捨てずにやってきたいなと思っています。
投稿 わるねこ | 2006年10月30日 (月) 01時33分
ヴァレラ『身体化された心』の感想を書いてみました。
投稿 ykenko1 | 2006年11月 3日 (金) 09時33分