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2007年1月10日 (水)

高野山、UTCP

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先週末は、久しぶりの高野山に。
信州の真田家ゆかりの蓮華定院の宿坊で1泊。質素な造りで、派手ではないけど、その辺りがいわゆる日本的なイメージを惹起するのか、外国人の宿泊客がほとんどだ。
その日の宿坊の名簿にはDavid Byrneという名もあったから、驚いた。
折しも悪天候で、高野山は夜から雪に見舞われた。宿坊はほとんど暖房もきかず、外界との仕切りはガラスと障子一枚だけなので、結局僕は風邪をひき、中耳炎になってしまった次第。
しかし、雪の舞う中、奥の院まで続く参道を歩いていたときの僕の精神状態は何とも言えない感じだったと思う。

風邪も治りきらないまま、昨日、今日とarational agentさんのお誘いで、楽しみにしていたThomas Metzinger博士の講演@UTCPを聴いてきた。
first person perspective、phenomenal self、intentionality、consciousnessといったテーマに関する内容で、僕が早々に挫折したままの大冊"Being No One"の概要に沿って進んでいるようだ。
正直、通訳無しの英語で、かなりへばった。さらに、哲学の基本の知識を欠く僕にとっては、representation、intentionality、phenomenalあたりの用語の初歩的な説明から始めて欲しかったのだが、容赦なく次々と新しい概念が提示され、僕の頭は全くついていけてなかった(と思う)。でも、これくらいは、自分でやらなきゃ、駄目か。
それでも,UTCPの若い研究員の方はかなり積極的に質問していて、脱帽。講演の内容に対する僕の理解度の問題もあるのだが、この質疑応答を聴いていて哲学をやっている人の問題意識の在処がちょっと垣間みれたのは嬉しかった。

通常の体験が帯びる「主観性」といっても、僕も精神科医の端くれなので、特にSchizophreniaの自我障害と呼ばれる一連の体験成立の障害に関心がある。その中には、体験から主観性がそぎ落ちてしまったようなもの(離人、被影響体験)や、逆に過剰になってしまうもの(誇大妄想、被害妄想)もある。時間的な順序もあるが、通常はこれらがある程度混ざった状態で出てくることも多い。エンピリカル、クリニカルな話題に突っ込んでいく時間の無い今回の講演では、精神症状についてはほんの少々触れただけではあったが、Metzingerのようにまず概念装置とモデルの土台を徹底的にこしらえた上で、個々の臨床的な症候を解析していくアプローチは、現在の方法論的に閉塞気味の精神病理学ではみられないものだと思う。近年、運動の内部モデルなどが一部の自我障害の説明に使われていたが、勘違いでなければ、Metzingerの言うPhenomenal self modelは、これをもっと広く体験全体に拡張したものとも言え、知覚、運動などの要素的な認知的活動のみにとどまらない統合失調症の症候を捉える際に参考になる。しかし、そのためには、モデルのもうちょっと具体的なところを理解していないといけないんだろうな。あらためて、"Being No One"の該当箇所を読み返してみよう。
Metzingerのモデルは元々エンピリカルなデータを下敷きにして考えだされたものだと予想されるので、当然ながら脳の構造や神経活動の時空間的パタンとの関連も気になる。脳損傷例の研究からselfのrepresentationが右のparietalのBOLDにcorrelateするという論文を読んだことがあるが、多分そういうことだけではなくて、Schizophreniaをみた場合、神経活動の伝播の時空間的なパタンや、ニューロン群の機能的なグルーピングも関与していると思う。
今日はちょっと頭が回らないので、もう少し調べて考えてみよう。

今日の音楽Various artists"Pop Ambient 2007"(CD)
今年も出たアンビエント、アブストラクトのコンピレーション。ドラムもメロディーラインも欠いたトラックに残るのは、始まりも終わりもみえない浮遊音の連続性だけで、やはり怪しげな気分に陥る。ここまでいくと、もはや心地よさは余りない。でも、決して疲れない。アンビエントは、ゆっくりと鳴り始めるチルアウトやハウスのトラックのイントロ部分を延々と先延ばしにしたようなものだ。普通は十数秒たってから徐々にドラムやメロディーが入ってくるのに、このアンビエントのトラック群では始まるべきものが始まらない、永遠に先延ばしにされたような不穏な気分になる。

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» 脳のholisticなメカニズムとsmall world network [脳と心と痴呆の臨床と。(旧「複雑系」徒然blog)]
わるねこさんの後追いでsmall world networkと脳のholisticなメカニズムについて考えて見た。おそらくわるねこさんがその内、詳細なレビューをしてくれることと思うが、自分として理解したことをまとめて置こう。 small world networkは規則的なリンクにランダムリンクを少数付け加えることにより、クラスター指数が高いと同時に隔たり次数の低い構造を持つものを言う。(例えば60億の人類の中でランダムに2人を選ぶと6人の知人を介して繋がっている。よく世間は狭いと言うが、その... [続きを読む]

受信: 2007年1月15日 (月) 23時43分

コメント

最近、わるねこさんの後を追っかけてばかりいるような感じですが、small world networkに関する本を読んでいました。そうしたところsynchronous oscillationやDynamic core hypothesisとか、いろいろなことがつながって見えてきました。脳の中はまさしくsmall world networkが張り巡らされて機能しているのですね。

投稿 ykenko1 | 2007年1月13日 (土) 01時16分

あけましておめでとうございます。最近はちょっとサボってばかりでした。
ワットのsmall world networkの原著論文を読んでみたら、細かい点は分からない箇所もありましたが、既にニューロンのネットワークについて触れられているのには驚きました。ykenko1さんの言う通り、oscillationとかsynchronizationとか、functional clusterなど、いろんなことがつながりますね。個々のニューロンはシナプスを介して隣接するニューロンの振る舞いしか知らないはずなのに、どうしてsynchronizedされたoscillationなどの大局的なふるまいが出てくるのかという疑問に対する、大まかな答えを与えてくれますね。ちょっと、興奮しました。
この辺りは僕もまだかじったばかりなのですが、ちょっとずつ触れていくつもりです。

投稿 わるねこ | 2007年1月13日 (土) 01時35分

わるねこさんの後追いでsmall world networkと脳のholisticなメカニズムについて少しだけ自分の理解したことをまとめてみました。詳細なレビューはわるねこさん、お願いします。

投稿 ykenko1 | 2007年1月15日 (月) 23時46分

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