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2007年2月 9日 (金)

attentional modulation of neural synchrony

最近読んだ論文。

Fries P, Reynolds JH, Rorie AE, Desimone R.
Modulation of oscillatory neuronal synchronization by selective visual attention.
Science. 2001 Feb 23;291(5508):1560-3.


僕たちが随意的に何かに視線を向けたとき、それに対応した神経活動パタンの変化が視覚野にみられるように、脳内の神経活動という物理現象も意識あるいは自由意志によって何らかの影響を受けているようにみえる。このような神経活動のtop-down modulationはどのようなメカニズムで実現するのだろうか?

注意は、このようなtop-down modulationの代表的存在だ。注意とは、雑多な刺激群の中からrelevantなものだけを選択し、これを増強することである。注意のネットワークレベルでのメカニズムを解明することは、top-down modulationの解明にも大きく貢献すると考えられる。ひいては、意識や自由意志の問題にも関わるものだ。

この実験は、neural synchronyのattentionによるtop-down modulationの証拠を提示したもの。
マカクザルのV4に電極を埋め込み、spikeとLFPを同時に記録した。受容野内(with attention)と受容野外(without attention)という2つの条件下の視覚刺激を与えた際の神経活動の時間的パタン(firig rate、VEP、synchrony)を解析した。受容野内外の刺激に対する神経活動を比較することで、attentionが神経活動に与える影響を調べることができる。

結果としては、attentionによってsynchronous oscillationsのlow-frequency成分が減少し、high-frequency成分(gamma range)が増加することが分かった。一方で、firing rateはattentionによって一定したパタンのmodulationはみられなかった。

また、neural synchronyのattentional modulationは約100ms以内に出現するのに対して、firing rateのattentional modulationは420ms後になってやっと認められた。

synchronous oscillationのenhancementは、脳幹を電気刺激してawarenessを上げた場合にもみられる。この場合は、おそらくコリン作動性ニューロンによる影響が大きいと考えられている。awarenessと同じように、脳幹が関与するattentionもまたsynchronous oscillationをenhanceするという事実は興味深い。

この実験は、注意のメカニズムがneural synchronyを介していると言っている訳ではない。むしろ重要なことは、注意によるtop-down modulation(あるいはdownward causation)が、firing rateなどの低いオーダーの神経活動においてではなく、それよりもワンオーダー上のneural synchornyのレベルで実現しているということだ。
ちなみに、意識はneural synchronyよりもさらに上のオーダーで実現していると僕は考えている。

今日の音楽:unknown track/Boards of Canada
ネットで色々と探していたら、boards of canadaのライブ音源を発見。早く来日しないかな。

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コメント

以前、わるねこさんから紹介されたE.Thompson&F.J.ValeraのTRENDS in Cog Sci2001の論文でdownward causationの例として、複雑な数学の計算課題を行う事でてんかん発作を抑制できるとか、あいまい図形を意図的にある見方をすることで神経活動に変化が起きる、などが挙げられていて興味深く感じました。彼らはreciprocal causalityという言い方もしていますね。

投稿 ykenko1 | 2007年2月16日 (金) 23時33分

こんばんは。あの論文は、Varelaの「身体化された心」の内容をさらに押し進めたような内容ですよね。タイトルが好きです。downward caustionという考え方を採用するかしないかで、自由意志などを含む様々な問題に対する答えも変わってくると思います。Varelaは二元論に陥らないように、注意深く言葉を選んでいますね.reciprocal causationの他に、circular causationという表現もみたことがあります。また、複雑系やレーザーで有名なハーケンは現在脳科学をやっているようですが、彼なんかは認知パタンそれ自体が拘束条件となって、トップダウンに神経活動にバイアスをかけると言っています。これも、downward causationと言い換えられそうですね。

投稿 わるねこ | 2007年2月16日 (金) 23時46分

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