
先日は、高校の友人と駒ヶ岳千畳敷へ。都心から3時間で標高2000m超の雪山に行けるから驚きだ。
うーん、来年は登ってみたい。
このところ、autismとサヴァン症候群関連の論文を手当たり次第に読み漁っていたので、ちょっと疲れた。
この分野もなかなか面白い。以下、メモ。
前回も書いたが、autism関連では、Uta FrithによるWeak Central Coherency仮説というのが有名だ。
これは、autismではlocalな認知処理過程が優位で、globalかつintegrativeな認知は苦手であるという一種の行動学的モデル。autismに関する心理学的知見から帰納されたものなので、症候の説明に適して大いに注目されたが、エンピリカルな土台に乏しいのが欠点だ。また、autismでは必ずしも統合的な情報処理が障害されているわけではなく、全体-局所という切り替えが不得意なだけかもしれない。僕自身は、WCC仮説はモデルの土台からしてmisleadingな可能性があると思っている。
最近は、機能画像の知見などが蓄積されてきたため、Just MAによってunderconnectivity仮説といったニューラルモデルが提出されている。underconnectivity仮説を大雑把に説明すると、autismでは広域のfunctional connectivityが低下し、代わりにlocalなcortico-cortical connectivityやcortico-thalamic connectivityが亢進しているというもの。前者は統合的な認知機能に関与し、後者はドメインスペシフィックな認知過程に関与しているという意味で、FrithらのWCC仮説に置き換わるモデルだろう。このあたりが、autismの能容積の拡大やpruningの異常など、発達や解剖学的なデータとからんでくると面白いと思う。
また、サヴァン症候群とautismとの関連は余りに深く、autismの10%以上にサヴァン能力が発現すると言われている。サヴァンの能力は、桁外れな記憶力、計算、音楽、視空間認知など、多彩である。Downによって100年前に初めて報告された際には、「ローマ帝国衰亡史」を一句違わず全て暗記している患者が報告されている。また、レインマンのモデルになったキム・ピークは、9000冊の本を記憶しているという。サヴァン症候群の包括的なニューラルモデルはまだ提出されていないが、上記のautismのモデルを応用して説明されることが多い。実際にサヴァン能力のほとんどは、autism患者が強迫的な興味をもつ分野と一致しており、localかつドメインスペシフィックな能力であることが多い。
サヴァン能力に圧倒的な機械的記憶(rote memory)が土台となっていることは間違い無いと思われるが、それだけでは彼らの能力は説明できない。また、彼らがそのような膨大かつ正確な記憶にconsciousにアクセスしているかどうかは、全く不明である。
Baron-Cohenの仮説にせよ、最近のautismのモデルは、最初からサヴァンを射程に入れているものが多い。それによればサヴァンは自閉症に関連した一つの認知スタイルとして理解されるべきとされている。
ちなみに、10年ほど前にMillerらによって、「後天的サヴァン」とも言うべき5つの症例が報告され、話題を読んでいる(Miller, 1998)。すなわち、前頭側頭型痴呆(FTD)の発病初期に、人格変化や脱抑制などとともに、芸術的才能の開花がみられたというものだ。狭義のサヴァン症候群と同じく、右半球と関連が深い能力が開花しており、SPECTでは左半球の血流低下がみられたという。
さらに、驚くべきことは、TMSによる磁気刺激でで左側頭葉前部の活動を一時的に抑制したところ、健常人を人工的に「サヴァン状態savant condition」にすることができたという報告(Snyder A, 2006)。
こういうことは、従来の二重乖離の原則では説明ができない。
サヴァン症候群では、認知機能の機能低下と亢進が併存する。これは、相互に抑制的なネットワークにおいて、皮質領域間の競合バランスが崩れることによって、逆説的な機能亢進paradoxical functional facilitationが生じることによると考えられている(Kapur N, 1996)。
今日の音楽:Omfo"Trans Balkan Express"(from CD"Luftkastellet 3")
Bicovina Clubを聴いてから、バルカン半島の音楽に興味をもっている。
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