network randomization in schizophrenia
ようやく大学での生活にも慣れてきた。この2週間は、過剰適応気味だったかもしれない。
月曜から土曜まで仕事をして、合間に実験の準備をするという生活だ。
要は、出力の配分だ。
これは、前々回の記事で紹介したschizophreniaのニューロンネットワークでネットワークアナリシスを行った実験だ。
40人のschizophrenia群と、40人の健常被験者とでresting stateのEEGを130sec計測する。従来のネットワークアナリシスと同様に電極間のconnectivityを計測するわけだが、近隣の電極間電極間の擬似的なcoherenceと真のcoherenceの混同を避けるため、この実験では電極群を大きく7つのderivationに分けて、異なるderivation間のcorrelationだけを評価している。この実験では、correlationの尺度として、Breakspearらの"nonlinear interdependence"を採用している。nonlinear interdependenceは、「あるダイナミカルの現在の状態から、別のシステムの将来の状態をどれだけ確実に予測できるかの指標」と大まかに定義される尺度である。これらの結果として得られたcorrelationのmatricesは、閾値を超えたエッジだけを抽出して、重み付けされたグラフ(weighted graph)へと変換する。閾値は、最も強いエッジの10〜30%の範囲で設定する。最後に、この閾値を少しずつ変化させていった場合の、characteristic path length(L)、clustering coefficient(C)、centralityを計算することによって、ネットワークのトポロジーを調べる。被験者間のばらつきを標準化するため、これらの尺度は特定の手続きで作成されたsurrogateのランダムグラフとの比で表される。
この実験の新しい点は、binary graphではなく、weighted graphを採用している点であろう。弱いエッジの大部分はfluctuationを反映しただけのもので、ネットワークトポロジーにおいて有意ではないという報告がある。しかし、従来のbinary graphでは、弱いエッジも強いエッジも一様に重み付けをされるために、shortest pathとnon-clusterd neighborhoodの出現率を見かけ上押し上げてしまうという問題点があった。
結果としては、従来の知見通り、健常被験者、schizophreniaの両群で、グラフはsmall-world的特徴を示していた。すなわち、「大きなCと小さなL」である。また、ハブ的なトポロジーを示す電極も存在することが間接的に示されている。しかし、両群を比較すると、微妙な差が明らかとなる。すなわち、統合失調症群では、CとLがともに健常被験者に比較して、小さな値を示していたのである。これは、ネットワークのトポロジーという視点から、どのように解釈するべきだろうか?
CとLが小さくなるということは、元々small-world的特徴を示していたグラフが、ランダムグラフにより近づいていることを示している。つまり、schizophrenia患者の脳のマクロレベルの機能的ネットワークはなおsmall-world性を保ってはいるものの、健常者よりもランダムさを増しているということになる。
また、この実験では、ネットワークトポロジーの変化とPANSSなどの症状評価尺度との間に有意な相関は見いだされていない。ここで注意すべきは、Cが小さいから、あるいはLが短いからといって、特定の認知機能が特定の方向に変化するとは言えないという点だ。そのような推測を立てるには、僕らの知識は余りに不足している。しかし、そもそも、small-worldは、functional integration/segregationを両立させるために理想的なネットワ−ク構造だった。schizophreniaのニューロンネットワークでは、微妙なランダムさの増大によってこのようなバランスが部分的に破綻し、情報の生成、処理に何らかの障害を来しているのではないかと推測される。詳細なモデルは、これからだ。
今日の音楽:Little Creatures「ハイスクールララバイ」(細野晴臣トリビュートアルバム)
最近のヘヴィローテーション。細野晴臣作曲、イモ欽トリオのヒット曲をLittle Creaturesがカバー。Little Creaturesがカバーしているだけあって、オリジナルのエレポップ風味は完全に消え失せ、放課後ムードの気だるいフォーキーな歌謡曲となっている。
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